どうして仮歯を作ったり、作らなかったりするの?

以前仮歯をめぐって患者さんと問答をしたことがあります。

仮歯に関してはいろいろ誤解が生じやすいので、一度ここで

整理してみようと思います。

まず最初に保険のルールでは仮歯は前歯のみ点数があり、認められています。

前歯とは犬歯から犬歯の間にある上6本、下6本計12本の歯のことです。

前歯以外の小臼歯、大臼歯にはそもそも保険の点数はありません。

点数がないということは保険請求ができない、保険では出来ないということです。

例えば、上の4番目の歯を削って型を取り、次回冠が入るということはよくありますが

この場合そのままでは見かけが悪いので、患者さんとしては当然仮歯を作って

もらいたいと思います。実際私を含めほとんどの歯医者が、こういう場合仮歯を作りますが

仮歯代として患者さんにも、保険者側にも請求は出来ません。

もちろん材料代と作る手間がかかりますが、すべてサービスです。

なら自費でもらえばいいじゃないかと思われますが、

現在の保険制度は混合診療を禁じています。

保険治療で行っている歯に対して、別途自費で頂くことは禁じられています。

したがってサービスでやっているわけです。

そのため保険治療の奥歯の仮歯を作るか作らないかは、ケースバイケースになります。

このことは、診療後にお出しする診療明細で確認することができます。

作っても、作らなくても診療明細には記載がないのです。

もっとも、最初から自費の冠にするということであれば、保険のルールは関係ないので

仮歯代を請求してもしなくても何ら問題ありません。

ところで、以前の患者さんで保険で前歯の仮歯を作ったところ、

10年間そのまま放置され、10年ぶりに仮歯が取れたということで来院された患者さんが居られました。

診ると歯が虫歯でやられ、抜かないといけない状態になっていました。

これほど長くなくても、仮歯のまま放置する患者さんが時々いらっしゃいますが、

これは是非止めていただきたいと思います。

また虫歯になったりしてやり直しになるからです。

仮歯は材料や精度から見て、所詮一時的なものにすぎません。