10月になり、街を歩いていると時々どこか懐かしいような甘い金木犀の香りが
してくる今日この頃です。
中秋の名月も終わり、秋も本番を迎えつつあります。
物思う秋ではありませんが、最近つくづく知識は大事だなと
身に染みて感じることが多くなりました。
というのもこのところやけに歯を折ってくる患者さんが多く、そのほとんどの人が知識がないために
そうなってしまったということが私としては残念なのです。
それではどうして歯を折ってしまったのかということを一から考えてみることにします。
色んなケースがありますが、代表的な例で言いますと、
1.前歯の歯と歯の間が虫歯になる。
2.痛くなって歯医者に行く。
3.神経を取らないといけなくなる。
4.神経を取って根っこの治療をして冠にする。
5.上下の前歯のかみ合わせが深く(deep biteという)
奥歯で噛んだ時に前歯でも当たっている。
6.歯ぎしりをする。
7.歯の根っこが折れ冠が取れる。
8.根っこの割れ方次第では抜歯になる。
また臼歯部でも神経を取っているのに冠にしないで、インレー(小さな金属)にしてあると
金属の縁に沿って歯が割れてくることがあります。
この他にも高齢者は神経が細くなって退化していることが多く、
かみ合わせが深く、歯ぎしり強い場合
神経を取ってなくても歯が折れてくることがあります。
以上のことを考えると、まず一番大事なのは虫歯を大きくしないことです。
つぎにかみ合わせが深いことは生まれつきなので簡単には変えられません。
しかし自分は歯が折れやすいという自覚は必要です。
こういう人は冠を作るときに隣の神経がある歯と連結するという
ことも考えた方が良いと思います。
最後に毎晩歯ぎしり予防のナイトガードをすることがとても大事です。
結論を言うと、
1.前歯に神経を取った歯がある。
2.かみ合わせが深く奥歯で噛んだ時前歯でも当たる。
3.歯ぎしりをする。
この3拍子がそろうと遅かれ早かれ必ず歯が折れてきます。
診療中に危ないなと思った患者さんにこういう説明をして注意を喚起しようと
するのですが、ほとんどの患者さんが聞き流します。
そういう時に歯科医から見れば自明のことなのに、知識のあるなしで損をするか得をするかが
決まってしまうのはいかにも残念な気持ちです。
例えでよく私はスタッフに、「あのね、一本道を歩いてて、分かれ道に来た時、
そこにいる親切なひとがAの道は安全だけど、Bの道は地雷が埋まってて危険だよ
と教えて貰ったにもかかわらず、聞き流してBの道に行って大けがをしてしまうという
ことと基本おんなじなんだよ」と言っています。
つまり前もって知識がある人は助かり、そうでない人は被害に遭うということ。
知識って大事ですよね!