開業して早いもので今年で22年になります。
先日時間が空いた時に、昔のカルテを
パラパラ見ていたら、
ある患者さんのカルテに目が引き付けられました。
その患者さんは今年の誕生日が来たら
丁度80才になられます。
当医院には約20年前から通院されています。
カルテを見て驚いたのは、歯周病の検査の数値です。
歯科医院では通常初診時に歯周基本検査という
検査をします。
これは歯と歯肉の間の歯周ポケットと呼ばれる
溝の深さを測る検査です。
正常値は3mm以内です。
それより深ければ深いほど歯周病が進行していること
になります。
その初診時の検査では全部で30本の歯の内
3mm以内の歯は11本、
4mmの歯は9本、
5mmの歯は3本
6mmの歯は4本
7mmの歯は1本
8mmの歯は2本
という状態でした。
レントゲン撮影でも、部分的に骨吸収が顕著でした。
それで20年後の検査の結果は次の通りです。
3mm以内の歯19本
4mmの歯9本
5mmの歯1本
6mmの歯1本
レントゲンでも骨吸収は進んでいませんでした。
どうでしょうか。
かなり劇的な変化ではないでしょうか?
私がこの20年間主にやったことは、歯ブラシ指導をして、
専ら徹底的に歯石を取ったことです。
この患者さんもよく治療を理解され、3、4ヶ月に一度
必ず来院されました。
これを20年間欠かさず続けられるということも
なかなかできることではありません。
しかし60才で30本歯があり、20年経ってもまだ30本あるという
ことは、80才で20本の歯を残そうという、歯科の8020運動にとっては、
凄い優等生ということになります。
去年の12月に来院された時「よく続きましたね」と申しあげたところ、
一言「どうしても入れ歯にはしたくなかったんです。」
と仰いました。
そういう強い気持ちがあったんですね。
正に継続は力なりです。