時々口臭が気になるということで来院される患者さんがおられます。
その場合歯科医院ではまず虫歯や歯周病の検査をし、更に舌苔があるかどうか、またお口の中が
乾燥していないかなどを検査します。
大きな虫歯があったり、歯周病が進んで歯茎から膿がでるようになると口臭がするようになります。
歯周病からくる口臭は独特の臭いがあり、周りの人にもわかるくらいです。
大きな虫歯もなく、歯周病もそれほど進んでなければ、次に舌苔の有無を調べます。
舌苔は自分でも鏡で見ることができます。舌に白くクリーム状に付いていればそれが舌苔です。
実際これが原因の患者さんが多いです。
舌苔は舌苔ブラシで取るか、人差し指にガーゼを巻き付けてソフトに拭って取るなどします。
またお口の中が乾燥していると、細菌が繁殖して、口臭がするようになります。
特に中高年になると、唾液が減って口の中が乾くドライマウスになりやすいので
お口の中の乾燥を防ぐことも大事です。
さて、具体的な対処方法としては、虫歯があれば虫歯の治療をし、歯周病が進んでい
るのであれば、その原因となる歯垢、歯石を何度も繰り返し徹底的に除去し、
歯周病菌を殺す作用のある歯磨剤やうがい薬を使うようにします。
例えば歯磨剤としては、歯周病菌が作る表面のバイオフィルムのなかに浸透する効果
のあるイソプロピルメチルフェノールの入ったライオンのSystema SP-ジェル、
またうがい薬としては浮遊性の細菌を低濃度から殺菌する効果のある
塩化セチルピリジニウムの入ったSystema SP-メディカルガーグルなどの使用が有効です。
またリステリンもバイオフィルム内に浸透して殺菌する効果があるので有効です。
口腔内の乾燥については、
1、しっかり噛むことを意識する
2、ガム(キシリトール入り)を噛む
3、鼻呼吸にする
といったことが有効です。
以上のことを行ってもまだ口臭がすると感じられる場合は、一度大学病院の口臭外来に
行くことをお勧めします。
そこではガスクロマトグラフィー検査をして
1、硫化水素
2、メチルメルカプタン
3、ジメチルサルファイド
の3つの口臭成分を機械で数値化して調べます。
3つの成分については、人が口臭と認識できる基準があり、1つでも基準値を超えた場合は
口臭ありと判定されます。
また3つの成分以外のものが口臭の原因になることもあります。
その場合は官能試験を行います。
これは医師が患者さんの臭いをかいで本当に口臭がないかを確認します。
なお、大学の口臭外来でのこのような検査と治療は、保険は使えず、自費診療になります。
また口臭がお口の中の原因ではなく、消化不良、肝機能低下、糖尿病などの体に原因が
ある場合もあります。
この場合は内科に行ってもらうことになります。