歯磨きの仕方で大事なことは具体的な方法もさることながら、目的意識です。
つまり「何のために歯磨きをしているのか?」ということです。
「歯をきれいにして虫歯や歯周病にならないため。」
一言で言えばこれにつきますが、実はもっと具体的なイメージを持って磨く方が良いと思います。
そうしないと歯磨きという単なる儀式を実効性もなく惰性でやっているだけになってしまいます。
歯磨きの目的は細菌を除去することです。
細菌は微生物です。口の中で生きています。
歯垢1mgに約1億いるとされています。
しかも表面にバイオフィルムという膜を持っています。
このバイオフィルムというのはうがいしたぐらいではとれません。
台所の流しをきれいにしておかないとぬめってくることがありますが、このぬめりがバイオフィルムです。
このぬめりは物理的に擦って取らないと、取れないのと同様に歯垢もブラシを当てて擦って取らないと取れません。
その具体的な方法は、まず頭部の小さめなブラシで、ふつうという硬さかやわらかめを選んで下さい。
歯周病と言われ歯肉が炎症を起こしている時はやわらかめにして下さい。
次に歯磨きをする時は、例えば左下奥から下前、右下奥、右上奥、上前、左上奥のようにいつもやる順番を決めておきます。
磨き方ですが、歯面に真横からあて、1箇所1,2歯分をブラシを細かく振動させる感じで15回程度行います。それが終わったら横にブラシを移動させ、同じく15回くらい振動させます。
奥歯はこのやり方でできますが、前歯はブラシを縦方向にして1本1本歯を磨きます。
この時ブラシの柄に近い方の角を使うとやりやすいと思います。
こういうやりかたで上下約15分を目安に磨いて下さい。
歯磨きペーストは最近はほとんどフッ素入りが多いでしょうから
1cmくらいブラシに出して使ってください。
また、歯と歯の間はブラシだけでは不十分なのでデンタルフロスや歯間ブラシを使ったほうがよいです。
歯間ブラシは丁度歯間部に合っている大きさを使うようにして下さい。
毎食後歯磨きをするのが理想ですが、それはなかなか難しいので最低でも1日1回就寝前に丁寧に時間をかけてブラッシングをすることが大切です。
寝ている時は唾液の分泌が少なく、自浄性が働かないので虫歯や歯周病になりやすいからです。
当医院では希望されれば口の中の歯垢を染め出して、患者さんに確認してもらってから詳しいブラッシング指導を行っています。