酸蝕症って何?

最近マスコミで「酸蝕症」という言葉を聞くことがあります。
酸蝕症とは歯の病気の一つで、分かりやすくいうと、
酸性度の強い飲食物で歯の表面が次第に溶けることを言います。

すなわち歯の成分であるカルシウムが酸によって溶け出して
しまうのです。これを脱灰といいます。
普通虫歯は歯垢の中の虫歯菌が糖分を食べてから強い酸をだし、
これが歯の脱灰を引き起こすことで起こります。

しかし、酸蝕症は虫歯菌が全く介在せずに、歯に酸性度の強い飲食物が
直接作用することで引き起こされます。

東京医科歯科大学大学院う蝕制御学分野の研究では実に
およそ4人に1人に酸蝕症が発生していると報告されています。

歯が薄くなる、歯の先端や奥歯に凹みがある、歯がしみるような時は
酸蝕症ではないかと調べた方が良いと思います。

酸蝕症を引き起こす飲食物としては、コーラなどの炭酸飲料、ワイン、
スポーツドリンク(ほとんどのものにクエン酸が入っている)
レモンなどの柑橘類やパイナップルなどのフルーツ、酢を使った料理、
ドレッシングいっぱいのサラダ、梅干し、また㏗調整剤、酸味料という形のクエン酸、
リン酸、酢酸の入った食品などが挙げられます。

こう書いてみるとほとんど毎日体に摂取しているものばかりです。
また胃酸も酸蝕症の大きな原因の一つです。

酸の強さからいうと、胃酸が最も強く、pHはおよそ1です。
胃食道逆流症はもとより、嘔吐やげっぷをしただけでも胃酸は
口中に漏出してきます。

歯科医院で酸蝕症と診断された場合、治療としては、
凹みがある部分を削らずにそのままコンポジットレジンで充填し、
ブラッシングは飲食物の30分後に柔らかいブラシで優しく丁寧に
行うよう、また酸蝕症を引き起こす炭酸飲料、スポーツドリンクの
常用をしている患者さんには止めるよう指導しています。

また本来唾液には、脱灰で失ったカルシウムを元に戻す再石灰化という
作用があるのですが、これを促進するためには唾液中にカルシウムを補給してやる
ことがよく、このためには江崎グリコが発売しているPOs-CaFというチューインガム
を噛むことをお勧めします。その他に口腔内pH値を正常に戻す重曹配合の「バランサー」
というマウスウォシュでうがいすることも有効です。