食べるってどういうことなの?

普段私たちは健康であれば、食べるという行為を特に意識することはほとんどありません。

当たり前のことのように毎日普通に食事していますが、年を取って体力が落ちたり、
病気になったりすると、食べるという行為すら難しくなることもでてきます。

そうなって初めて人は食べることの重要性に気づきます。
特に飲み込むことができるかできないかで命を永らえるかどうかが決まってくる高齢者も多くいらっしゃいます。以下少し食べることについて書いてみようと思います。
食べるという行為は「噛む(咀しゃく))」、「まとめる(食塊形成)」、「飲み込む(嚥下)」の
3つの工程からなります。

すなわち

  1. 噛む(咀しゃく)
    歯と顎の力で食べ物を細かく砕きます
  2. まとめる(食塊形成)
    飲み込みやすくするために、唾液を使って適度な塊にします。
  3. 飲み込み(嚥下)
    次に食べ物がのどに送り込まれ、食べ物をごっくんと飲み込むということになります。

これをもっと詳しく説明すると、次のようになります。

 ①食べ物を咀しゃくし、飲み込みやすい形に整える。
 ②舌が、口とのどをつなぐ「口腔」を閉じる。
  鼻に通じる通路である「鼻咽腔」が閉じられる。
 ③口腔内の圧が高められ、その圧力によって食べ物がのどのほうへ送られる。
 ④喉頭挙上筋群が働き、タイミングよくのどが約2~3センチせり上がる。
 ⑤その動きに合わせて、喉頭蓋が下向きに倒れ、気管に通じる道にフタをする。
 ⑥同時に、呼吸時は開いている「声帯」が閉じて、気管をふさぐ。
 ⑦「咽頭」が上から順に絞られていき、食べ物を奥へ送る。
 ⑧閉じられていた「食道の入り口」が、0.5秒だけ開く。
 ⑨食べ物が、「食道・胃」へと送り込まれる。

そして私たちは、これら一連の動きをわずか0.8秒ほどで行っています。
考えれば、食べるということは実に精妙な働きで成り立っているのです。

2でもし唾液の分泌が十分でなければ、上手に食塊が作れず、飲み込むのに苦労することになり、また飲み込みに失敗し、食べ物が気管に入れば、誤嚥性肺炎になることにもなります。
また、この飲み込みに苦労する状態を放っておくと、食事が面倒になり、食欲不振や低栄養状態のリスクが高まります。

他にも唾液が少ないと唾液の抗菌作用が働かず、菌が繁殖しやすくなり、虫歯、歯周病、口臭のリスクも同様に高まります。

このように食べることに関して唾液はまた非常に大きな働きをしているのです。
従って、食べるという人間にとって基本的なことを支障なく行うには、

  1. 唾液が正常に分泌されていること
  2. 嚥下を正しくやれるように、喉頭挙上筋を鍛えて衰えないようにすること

が大事になってきます。

 

以上食べることについての知識をまとめてみました。