入れ歯は様々な作り方があります。
保険で作る義歯、保険外(自費)で作る義歯、またどういう設計で、どういう素材を使うかによりかなり違いますし、それぞれ利点、欠点があります。
特に保険の制約のない自費の義歯に顕著です。
そういう意味で自費の入れ歯はまさにオーダーメイド義歯と言えるでしょう。
1保険の義歯
基本的にレジン床、熱可塑性樹脂床(スルフォン床)の2種類があり、部分入れ歯なら歯に外からひっかける金属の鈎(クラスプ)が必要で、これで噛むときに入れ歯を支えます。
総義歯の場合はクラスプは要りません。
利点は安価な点で、一つの義歯でほとんどのケースで1万円以内です。
欠点は、壊れやすいことです。
床自体が割れたり、クラスプが壊れたりと概して素材に対するトラブルが多いようです。
2保険外(自費)の義歯
保険の制約がないので、患者さんの予算に合わせて使用する素材と設計を選ぶことができます。
金属床義歯
総義歯の場合主に上顎(上の方)に使います。
レジン床と違い非常に薄くできるので違和感が少ないのと、金属ですから強く、割れません。
これは利点ですが、欠点は高価なことです。
ただ、当医院では申請をしているので、まったく歯がない場合一部保険が利きます。
部分入れ歯の場合は、残存している歯の状態により設計をさまざま考えることが可能です。
また、金属床の部分入れ歯の場合、クラスプ自体も床と一体として鋳造して作るので
壊れにくく、精密なものになります。クラスプの設計もさまざまです。
欠点としてはどうしても歯の外からクラスプをかけるので、見かけが気になることでしょうか。
そこでクラスプをまったく使わない義歯もあります。
コーヌス義歯
これは、クラスプを使わず、何本かの歯に内冠を装着し、これに対して入れ歯の側に外冠をくっつけ、内冠に外冠がはまり込むことで、入れ歯を支える義歯です。
利点は見かけがよい、長くもち、違和感が少ないところですが、欠点としては費用と時間がかかる点です。
当医院ではコーヌスの内冠、外冠にはすべて高価な白金加金を使用しています。
ノンクラスプ義歯
これは、床自体が比較的新しい素材で、従来のレジン床と比べ柔らかい素材でできていて、当医院で主に扱っているバルプラスト義歯はクラスプがないので、見かけが良く、痛くなく、非常に割れにくい利点があります。ただ総義歯には向かず、部分入れ歯用です。
2,3本の歯がない小さな欠損のケースではバルプラストのみで良いですが、両側にまたがるような大きい欠損のケースでは金属床の補強が必要になることが多いようです。
また、噛みしめてどうしても痛みを感じるケースでは、クッションとして床の裏にシリコンを貼る方法もあります。
金属床ノンクラスプ義歯
ナイロン系樹脂であるポリアミド樹脂から作られたクラスプのない(ノンクラスプ)審美的なノンクラスプ義歯に、金属プレート(コバルトクロム)をプラスしたのが、金属床ノンクラスプ義歯です。丈夫で薄い金属床と、ノンクラスプ義歯の組み合わせは理想的な金属床義歯です。
金属床ノンクラスプ義歯は、異物感が緩和され、発音がしやすく、噛む力がかかっても変形しにくいため、より強く噛むことができるようになります。